
自前で研究機関を作るという夢は叶えたが、研究資金のことは考えてなかった。なにか金になる研究はないのだろうか?

NFTアート……これだ!
そもそもNFTアートって何ですか?

初耳の言葉です。マスター、教えてください。

NFTアートとは、デジタルデータで表現されるアートの中でも、NFT技術によって所有権を保証したもののことだ。

所有権を保証する……?

デジタルデータによるアート、例えばこのブログにおける私たちの画像データだが、これは簡単にコピペできる。すると世の中には、コピペしたデータをマグカップにでもプリントし勝手にグッズとして販売する不届きな輩がいるわけだ。

デジタルデータの欠点ですね。

厳密には著作権情報を埋め込むことはできるのだが、痕跡なく消すことは難しいことでない。だからこれまで所有権を保証することはできなかったのだ。

それがNFTという技術を使うと保証できるのですね。

おかげでデジタルデータも物理的な絵画と同じようにやり取りできるようになった!……という売り文句だが、NFTアートは問題も抱えているようだ。
NFTアートはトラブルを起こす問題が?

今回、NFTアートの事前調査を始めたところ、こんなツイートを見かけた。
大学で情報工学に専攻した海外のボカロPです。
— Lystrialle (@Lystrialle) September 19, 2021
NFTや暗号通貨の機械がわりとわかる人としてもう自分の目で恐ろしい破壊力を見ました。
心配する海外人が「ただのイメージ」「新技術が怖いだけ」と間違われるのが実に困るんです。
(続く)https://t.co/aUy5zMX0JO

NFTアートに何か問題があるということでしょうか?

ツイート主が大学でどの程度、情報について学んでいたかは知らない。しかし私は修士まで情報を専攻して学んでいるので、教養という点では劣らないだろう。

学識、ではなくてですか?

一口に情報と言っても分野は広いからな。医学が内科外科とさらに専門化しているのと同じだ。

それでは、教養としてツイートを読んだうえで、マスターはどのようにお考えなのでしょう?

結論から言えば、まずツイート主のNFTに対する強く否定的な姿勢が気になったな。少々、公平とはいいがたいところがある。

そのうえで、傾聴に値するNFTアートの問題点を3つに整理して述べる。それだけでもこの分野への取り組みをためらうだけのものがある。
- NFT技術による自然破壊
- NFTアート登録を行う代行屋や盗作屋の存在
- GPU需要拡大に伴う慢性的な品薄
NFT技術による自然破壊は嫌だ

NFT技術による自然破壊とは、確か電力やハードウェアを消費することによるものですよね。

そうだ。NFT技術の成果物を維持するためには、コンピューターが複雑な計算をしなければならない。複雑な計算は電力を大量に消費するし、使われるハードウェアも消耗する。

けれども電力やハードウェアの消耗自体は、人間が現代以上の生活水準を維持するためには避けられないものだと思います。

そうなのだが……NFT技術に反対する人々はこの技術による消耗への嫌悪が強い。理由はNFT技術そのものが嫌いだからではなく、この技術で作られたものが投機の対象となっていて、一攫千金目当ての成果物を作り続けている点にあるだろう。

NFTアートはNFT技術を使った新しい投機商品でもあるのですね。

だからこそ研究費稼ぎにはうってつけなのだが……道義心の欠如を非難されても仕方ない面はある。ビットコインをはじめとして、NFT技術による成果物は適正価格から著しく高騰している。投機商品としての人気の高さゆえだな。
NFTアートの盗作屋がクリエイターを殺す

代行屋さんはわかるのですけど、盗作屋というのはどういうものなのでしょう?

さっき言った勝手にグッズを作って売りさばく奴のNFTアート版だ。他人の著作物を勝手にNFTアート化してぼろ儲けという寸法だよ。

えっと……NFTって所有権を証明できるのですよね?でしたら、盗作屋である最初の持ち主も明らかになるのではないですか?

まだ調査していないが、逮捕される間抜けな盗作屋は三流だろう。こういう犯罪は現金化のタイミングで捕まるという話もあるが、マネーロンダリングする伝手があればいいシノギになるとも言える。

裏社会の資金源になるのですね。

私がバナナ共和国の独裁者なら資金源にするかもな。

バナナのNFTアートで独裁国家……

いまのNFTアートだとそんな夢も叶いそうで怖いな。もっとも、既に「NFTアート 売れない」なんて検索が流行っているようだが。

ともかく、一次創作者であり二次創作者でもある私としては、クリエイターを取り巻く環境が澱むのは避けたいところだ。盗作者どもの懐を潤す技術にはいい顔できん。
NFTアートが美しいGPUグラフィックを破滅させる

NFT技術の実現にはグラフィックボードのGPUがよく使われているのですよね。

ゲーマーでもある私からすれば、NFT技術がもたらすGPUの慢性的な品薄状況は憎らしいものだ。

NFT技術の実現にGPUは必須なのでしょうか?

そうではない。GPUはあくまでNFT向きというだけで、CPUを主体としたNFT技術もある。

GPUの大規模需要による恩恵はないのでしょうか?

調査したことはないが、そういう弁護を見かけないあたり、負の影響の方が大きいだろう。しかもメーカーがGPUに対策を施すほどだ。

ともかくデジタルアートでGPUが重要な役割を果たす以上、NFTアートでGPUの品薄をもたらすようでは本末転倒と言える。この記事を書いている時点でPCは年内に新調したものだが、GPUの性能には妥協せざるを得なかった。
NFTアートの懸念は本当?

投機商品で自然を破壊する面がある。道徳的にも好かれていない。盗作屋がいるグレーゾーンの世界。GPUのひっ迫を引き起こしている……NFTアートの問題点が次々と出てきましたね。

だからNFTアートへの参入は見送ろうかと思った……しかし、やっぱり研究対象にすることとした。

お金がないからですか?

いや、金儲けのためではないぞ。もうすぐスポンサーがついて、研究費の確保もできるからな。

スポンサーと言えば、メールボックスにASPとかいう方々からお祈りメールがきていましたので、後で確認していただけないでしょうか?

……

それで、NFTアートを研究対象とするのですね。

そうだ。金のためじゃないぞ。NFTアートの不評が本当なのか、NFT技術は単なるバブった球根なのか、それともインターネットのような革新的技術なのか、情報を専攻して学位を納めた人間として、クリエイターとして見定めるためにやるのだ。

わかりました。新しい研究室を手配します。

……やっぱりやめたって言えない流れだよな。コレ。



