
今回は横浜駅近の名店、鶴一家の地獄ラーメンを紹介する。

口が辛いままの地獄ラーメン!
辛口、と一言で辛いということを表現しても、実際のところの辛さというものは多様なもので奥が深い。私にとって地獄ラーメンの辛さというものは、新しい辛さを思い知らされた辛さだった。

ともかく、まずはスープを一口……
大手のグルメブログで見かけるような、もう絶対辛いだろうという色のスープではない。ちなみに基本である「辛い」を選んだ。この下のランクには「ちょい辛」があり、上には更なる3つの辛さが用意されているので、辛党は安心してほしい。
激辛が好き、というわけではないので、基本的な辛さを選ぶのが私の流儀だ。店によってはその基本の辛さも無理と断念してレベルを落とすことはあるのだが、逆に物足りなくてレベルを上げることもある。
ともかく、ラーメンを頼めばまずはスープを口にする。これは譲れない。

意外に辛くない、か……?
辛いという味覚は、繰り返すが多様なものである。甘さだってスッキリした甘さからべたつく甘さがあるように、辛さというものも、最初から舌を刺す様な辛さもあれば、吐き出すほどの辛さにもかかわらず辛味に一瞬だけ気づかないようなものさえある。
まあ、こんなうんちくを語るくらいだから、辛さというものはそれなりに知り尽くしているつもりだった。しかし、それは傲慢だったと思い改めることになる。

なんだ? 口の中の辛さがひかないだと……?
カルビクッパのような料理がいい例なのだが、トウガラシの辛さが最初だけで、後には具材の甘い旨味が広がるような、本当に辛いメニューなのか? という料理がこの世の中にはある。鶴一家の地獄ラーメンはその逆だ。
このラーメンを食べると、地獄の灼熱に幽閉されたような錯覚を覚える、辛さが身体から抜けない責め苦を味わうのだ。
一度の体験だと錯覚かもしれない。というわけで、私は二杯目の地獄ラーメンも後日摂取した。
その結果、初回よりも辛さの印象が強くなる、それでいて口の中の辛さがなかなかひかないという責め苦を再び経験することとなった。

この世にはこんな辛さもあったのか!?
地獄ラーメン(880円)。他のラーメンでは体験できない、地獄を体験するラーメンだ。

濃厚で臭みのないトンコツ!
この地獄ラーメンのスープを楽しんでいて感じたのは、トンコツの濃厚な味である。あっさり味は物足りないとはいえ、少し濃厚気味ではないかと感じるほど贅沢な味わいだ。
ところでトンコツというと独特の臭いが気になるところであるが、そこは味にしては驚くほど抑えめで、私には素晴らしい塩梅だった。臭いもなければ物足りないという人には向いていないが、逆に臭いが気になる人には素晴らしい。
ただし私はニンニクを遠慮なく味わうスタイルなので、食後に臭いがしないというラーメンではないのは注意だ。ニンニクを控えめにするなどしたら、味が変わる可能性は十分にある。

ともかく美味いトンコツだ。気に入った!
脂に負けないほうれん草と海苔
脂っこいラーメンが好きにもかかわらず、私は脂をたっぷりと吸ったほうれん草や海苔が苦手だ。あるいはもう若くないからなのかもしれないが、ともかく脂の強さに胃がひっくり返りそうになる。
というわけで、ほうれん草や海苔が脂を吸いすぎないでほしいと気にするのが常なのだが、地獄ラーメンのほうれん草や海苔は脂を吸っても十分に素材本来の味がしっかりして不快感は小さい。
もちろんあまりにもほったらかしにしたり、海苔をスープにたっぷりと沈めれば脂を大量に吸う。あるいはそうしてラーメンの脂を減らすこともできるが、それなら最初から脂少な目で注文すればいいので無駄である。
特に感心したのは焼き海苔の強さだ。トンコツと動物性の脂と醤油と辛味を絡めた海草の味わいは素晴らしい。

海苔もほうれん草もたっぷりだからヘルシーだ。本気だぞ?
うま辛の豆板醤!
豆板醤も辛いの一言で片づけられない繊細な調味料だ。確かに辛いのであるが、その辛さも味噌の甘みを引き出すものから、辛味の主体になれるような痛いものまで様々である。
鶴一家の豆板醤は味噌の甘みがするタイプで、地獄ラーメンの味を深めてくれるコクのあるしっかりしたものだ。こういう豆板醤に私は弱い。
地獄ラーメンは辛い。というか、簡単には口から辛さが去ってくれない。なので豆板醤をレンゲに溶かして口直しするような食べ方をすると、辛さのテーマパークじみた多幸感に包まれる幸せ味となる。

豆板醤は……重要だ。
ゆったりで懐かしい店内の雰囲気
ゆったりとしたカウンター9席とテーブル14席からなる店内はゆったりとしていて、懐かしい日本家屋じみた雰囲気が落ち着いてラーメンを食べる空間を提供してくれている。温かいのだ。
券売機も大きくて操作しやすく、食事に行ったコロナ禍の状況でも消毒してからあれこれするのは落ち着いてできる。
とはいえ、店内が広いから大きな問題ではないのだが、お冷がちょっと取りづらい。辛口のために水をガバ飲みする私には、座席ごとに水が備え付けてあるぐらいでないと困るのだ。
しかし店内が広いのでイラついたりすることはない。単に面倒なだけ。ラーメンを楽しめる素敵な空間を提供してくれている。

コロナが落ち着いたら、もっとのんびりと食べたいものだ。

ひょっとして、日本の地獄をイメージしているから懐かしい店内の造りなのでしょうか?
鶴一家へのアクセス
鶴一家は横浜と神奈川の間にあるが、ここでは横浜駅からのアクセスについて述べる。徒歩7分だ。
西口、あるいは北西口から東に向かって歩き、川を超える。あとはそのまま右手の方に向かって歩き続け、大型施設であるCIAL横浜ANNEXが目印となるため、大通りである(地方道)83号線を歩いて CIAL横浜ANNEXを見つけてから、その対面にある道を歩くのも手だ。
どちらにしろ、店は未知の北側にあるので、扉は南側を向いている。近くには有力なラーメン店などが多くあることから、少し戸惑ってしまうかもしれない。Googleマップなどで事前によく確認しておくと迷子にならずにすむ。
鶴一家で地獄を体験しよう!
私はまだ地獄ラーメンしか食べたことがないが、クリーミーな家系ラーメンの著名店として鶴一家は知られているという。実際に素晴らしいトンコツには深い感銘を受けた。
とはいえ、鶴一家を訪問するならば、やはり地獄ラーメンを体験すべきであろう。
880円と少し高い昼食であるが、エンターテイメント込みと思えば悪いものではない。
横浜駅から徒歩7分の地獄。是非とも楽しんでほしい。

