
家系総本山吉村家、まさか今日は店が閉まっているとはな……
2021年某日、私は予定していたラーメン屋が閉まっていて途方に暮れていた。
横浜駅はグルメの街である。どうグルメかと問われると途端に窮するところはあるのだが、なんだかんだといい店が多い。例えば、鶴一家だ。
ラーメンを食べに来たのなら、それこそここで満足すればいい。あるいは一蘭、一風堂。どちらも駅への帰り道にある。安く済ませたいなら、はなまるうどんもあったはずだ。ウェンディーズだって行ってみたい。Fridaysだってある。

……なんだろう。がっかりしたせいか、どれも食べる気がしないぞ。
そんな悩みを抱いていた時、ふと目に飛び込んできたのがこれだ。

街角カフェ風もんじゃ屋!?

なんだ、この店? こんな店あったのか?
正直な話、失意でとぼとぼと歩いて帰るまで、横浜駅のこのあたりにこんな店があると気づいていなかった。駅のすぐ近く、さっさと帰るかスタバに寄るか、常日頃なら財布や体調と相談しているあたりに、この店はあったのだ。

昼飯前で、今日はスタバをどうするか考えてないからな……
意外な展開で意外な出会いをするものである。ともかく、気づいてしまったら気になった。値段も良さそうなのでそのまま暖簾をくぐる。
築地直営という、いかにも高そうなフレーズは目に見えてなかったのである。
築地の老舗 月島もへじ
ドイツ帝国が誕生し、廃藩置県が行われた明治四年。築地にある海鮮問屋が誕生した。
その海鮮問屋は海鮮品の素晴らしさを広げるためにもんじゃ屋をはじめたという。月島もへじ、月島本店は予約しなければ入れない(ぐぐる調べ)ほどの名店らしい。
ともかく、老舗名門だ。横浜へは2021年の夏にやってきたらしいが、そういう事情を私は知らない。ただ単に、ラーメンを食べに来ていただけなのだ。
というわけで、なんの準備もクレミーの補佐もなく、私は名店に飛び込んでしまったのである。
海鮮の名店で天玉を頼む

ホタテのバター焼き800円などと言われても、ラーメンを食べにきた私は、名店の品々を満喫できるような予算を用意していなかった。恐る恐る天玉(680円税別一番安い)を注文しただけである。
家庭用の鉄板で美味しい粉モノを作るのは難しい。その点で言えば、もへじのお好み焼きはとても美味しかった。熱した鉄板からとる焼きたてのお好み焼きは美味しい。
なお、同じ値段でもんじゃも注文できたようであるが、想像を絶する店に来てしまったと委縮していたので、注文できなかった。残念なことである。
記憶に残ったのは、特徴的な黒七味だ。おそらく唐辛子ではなく胡椒による七味である。この味が物珍しく、また食べたいと印象に残った。
七味というと市販の七味唐辛子を思い浮かべるが、浅草の酉の市では様々な香辛料屋が屋台を並べている。こういったブレンドが大正や昭和の醍醐味だったのだろう。都会っ子の私には、築地や下町、あるいは田舎の雰囲気はよくわからない。
だからこそ、もっとそういう空気を味わいたいと思った。
リベンジは3000円ぐらい用意したい
海鮮問屋のイカ焼きや魚など、美味しいに決まっているではないか。そのことばかり気になってしまい、リラックスして食べることができなかった。
まあ実際のところ、吉村家へ歩いて帰って、暑さにやられて食事どころじゃないというのが正直なところだったのである。一度は地下街まで歩いて、涼みながら別のメニューも考えていた。それでもカフェ風の店構えに心惹かれて決めたわけだ。
実際のところ、もへじは一階だけでなく複数階建てである。熱中症気味の頭が間違って記憶していなければ、打ちっぱなしに近いような内装だった。割と好きな造りだが、鉄板屋としてはちょっと狭くて暑苦しかったのも、夏には不向きに感じる。
だがそれだけならば、夏の不思議な体験として片づけるものだ。実際のところ、もへじの味は、リベンジがしたいと感じるほど美味かった。
次は3000円ぐらい用意して、過ごしやすい時期を選びつつ、リラックスして食したい。
系列とはいえ、予約をしなければ食べられないような名店の味を、バテた身体で摂取するなどもったいないではないか。

ということで、もへじさんにはいずれまた訪問します。


